GUIDE
店舗開業ガイド
物件選び・空間設計・業種別のポイントなど、
開業時に知っておきたい情報をまとめました。
CHAPTER 01
物件選び・基礎知識
開業前に知っておくべき物件の選び方と基礎知識をまとめました。
【居抜き物件】前テナントの設備・内装をそのまま活かせるため初期費用を大幅に抑えられます(スケルトンと比較して工事費が30〜50%削減できるケースも)。一方で、レイアウトや設備位置の制約があります。設備位置を大きく変えると配管・電気工事が発生し、かえってコストがかかることも。【スケルトン物件】ゼロから自由にレイアウトを設計できるため、理想の動線・デザインを実現しやすいですが、内装工事費用は居抜きより高くなります。選ぶ際は「既存設備をどれだけ活かせるか」と「理想のレイアウトに変える必要があるか」を判断基準にしてください。
まず物件の大家さん(オーナー)に「業態変更が可能か」「原状回復義務の範囲」を必ず確認してください。居抜き物件には前テナントの設備が残っていますが、撤去費用が借主負担になる場合があります。また、電気容量・ガス種(都市ガス/プロパン)・排気ダクトの有無など、ご自身の業態に必要なインフラが揃っているかも確認必須です。内見の際に施工会社に同行してもらうことをおすすめします。
①必要な機材・備品のリストアップ(業種・メニュー・席数などから洗い出す)、②売上計画・想定客数から必要な設備を逆算すること、③参考にしたい店舗の画像や写真の準備、の3点が揃っていると見積もりの精度が大幅に上がります。特に必要機材のリストがあることで、電力容量・ガス容量・水道の必要スペックが明確になり、インフラ工事の過不足なく見積もりが作成できます。
長続きする店舗には2つの共通点があると感じています。1つは「お客様の過ごしやすさ」を最優先に設計されていること。オーナーのやりたいデザインよりも、来店するお客様が何を求めているかをしっかり汲み取った空間になっています。2つ目は「働くスタッフとお店の雰囲気がマッチしている」こと。内装とスタッフの人柄・サービスが一致しているお店が長続きしているように感じます。
CHAPTER 02
空間設計・素材選び
天井高・ユニバーサルデザイン・素材選びなど、空間設計の実務的なポイントを解説します。
一般的な店舗では天井高2,500mmが最低ラインの目安です。2,600mm以上確保できると開放感が大きく増します。スケルトン天井(躯体現し)にする場合は躯体の高さによって変わりますが、3,000mm前後になることも多く、より広々とした空間になります。物件選びの段階で天井高を確認することをおすすめします。
主なポイントは①通路幅の確保(車椅子が通れる最低幅900mm、できれば1,200〜1,350mm以上)、②車椅子対応トイレの設置(幅・奥行きともに十分なスペース確保)、③トイレ前のスロープ設置、④入口や通路の段差解消(バリアフリー化)の4点です。お客様全員が快適に利用できる空間づくりに向けて、設計段階からご相談いただくと最適なプランをご提案できます。
清潔感を重視するなら、壁はタイルが最もおすすめです。水が飛んでも拭き取りやすく、カビが発生しにくいため長期間清潔さを保てます。床はドライトイレであればフロアタイル、水をそのまま流せるウェットタイプのトイレにしたい場合はコンクリートが適しています。コンクリートは洗い流しにも対応でき、非常に実用的です。
コンセント増設の工事には主に2種類あります。①既存の分電盤から回路を分岐させる方法(電力容量に余裕がある場合に適用):費用の目安は10〜15万円程度。②電力会社への申請が必要な電力引き込み増設(大型厨房機器・業務用エアコンなど高消費電力の機器を設置する場合):費用の目安は30万円以上。どちらになるかは現地調査が必要ですので、まずは確認させていただきます。
飲食店の床材には、コンクリート仕上げが耐久性・メンテナンス性・デザイン性のバランスに優れておすすめです。そのままでも雰囲気が出るほか、コンクリート専用の塗料でカラーリングすることも可能です。水や油にも強く、モップがけで清掃できます。他にはノンスリップ加工を施したタイルや、厚手のフロアタイルも実用的でよく使われます。
看板は「昼も夜も視認できる」ことが最低条件です。照明(LEDスポットや内照式パネルなど)を組み合わせることで、夜間の集客力が大きく向上します。壁面看板は視認距離と文字サイズのバランスが重要で、10m先から読めるサイズを目安にしてください。袖看板は通行する人の視線に入りやすい高さ(地上から2〜2.5m程度)に設置すると効果的です。看板のデザインは店舗の内装テイストと統一することで、ブランドイメージの一貫性を保てます。
CHAPTER 03
業種別のよくある質問と
業種別のよくある質問と
開業時に押さえるべきポイント
業種を選択して、開業時に押さえるべきポイントをご確認ください。
理容室
既存機材(シャンプー台・セット面など)がどれだけ使えるかを最初に確認することが重要です。使えない機材の撤去・廃棄費用は意外と高く、逆にコストアップになるケースがあります。また、給排水管・電気配線・ガス管などの設備位置はできる限り既存のまま活用するのが大前提です。配置替えをすると配管・配線の引き直しが必要になり、費用が大幅に増加します。
設計の早い段階で管轄の保健所へ事前相談に行くことが最も重要です。理容室の場合、消毒設備・手洗い設備の設置場所・床や壁の素材など細かい基準があります。事前相談で確認した基準を設計に反映させてから着工することで、検査の手戻りや改修工事を防ぐことができます。
開業後の営業イメージをできるだけ具体的に固めてから設計に入ることが大切です。「デザインのかっこよさ」だけを追求すると、実際に営業してみて「思っていたのと違う」となるケースがあります。施工会社の過去事例を多数確認し、実際にその店舗を訪問した上で、担当デザイナーと丁寧にすり合わせを行うことをおすすめします。
使用するシャンプー台・セット面などのメーカー・型番をある程度絞っておくことと、必要な備品のリストアップをしておくことが重要です。機材が決まることで、必要な電力容量・給排水の位置・スペースが明確になり、見積もりの精度と速度が大幅に向上します。
美容室
大型サロン(5席以上)かプライベートサロン(1〜2名対応)かによって最適な立地が異なります。大型・回転率重視のサロンは1日の来客数を確保する必要があるため、駅から徒歩5分以内の視認性の高い立地が有利です。一方、プライベートサロンやゆっくり1人1人に時間をかけるスタイルであれば、住宅エリアの落ち着いた立地でも口コミ・SNSによる集客が十分に見込めます。
最も効果的なのは、美容室に必要なインフラ(電気容量・給排水・ガス)が既に整っている物件を選ぶことです。電力容量が不足していると増設工事だけで30万円以上かかることがあります。また、コンクリート打ちっぱなしの物件など、内装をほぼゼロから作らなくても雰囲気が出るような物件を選ぶことも有効です。スケルトンのまま活用できる部分が多いほど、内装工事費を大幅に削減できます。
施工会社との「イメージ共有」が最大のポイントです。言葉だけでの説明は認識のズレが生じやすいため、参考写真・イメージボード・実際に気に入った店舗の紹介など、ビジュアルで共有することを強くおすすめします。また、施工会社の過去事例を多数確認し、可能であれば実際の店舗に足を運ぶことで、完成品のリアルな質感やディテールを確認することができます。
お客様同士の動線が重ならない設計にすることが重要です。シャンプー台への移動・セット面への誘導など、施術の各ステップでお客様がすれ違わないよう動線を設計します。また、廊下スペースは極力少なくし、施術スペースに面積を充てる方が効率的かつ広く感じられます。スタッフの作業動線とお客様動線を明確に分けることも快適な空間づくりのポイントです。
バー
最も重要なのはお客様の通路幅の確保です。バーカウンターと壁の間の通路は最低でも900mm、できれば1,200mm以上確保することを推奨します。また、照明はバーの雰囲気を左右する重要な要素で、カウンター上部のスポットや間接照明の位置・色温度は入念に計画してください。客席を詰め込みすぎず、1席ずつにゆとりを持たせることも居心地の良さに直結します。
①通路幅を広めに確保し客席を詰め込みすぎないこと、②入口からすぐの位置にカウンターを置かず、入店時に開放感を感じられる距離(最低でも1,000mm以上)を設けること、③カウンター上部の吊り棚は視線を圧迫するため、収納は側面や下部に設けること、の3点が特に効果的です。小さな空間でも「抜け感」を作ることで、体感の広さが大きく変わります。
喫茶店
テーブルエリアとカウンターエリアなど、座席の「区画を分ける」ことが効果的です。同じ高さに人の目線が並ぶとごちゃっとした印象になるため、高さの異なる席種を組み合わせることで視覚的な奥行きが生まれます。また、席同士の間隔は最低でも600mm、理想は800mm以上確保することで窮屈さが軽減されます。チェアやテーブルはコンパクトなサイズを選びつつ、素材・色味を統一することでまとまり感を演出できます。
ケーキ屋
住宅エリアへの出店が最も集客力があります。特にファミリー層が多い、ファミリータイプのマンションや戸建て住宅が集まるエリアが理想的です。路面に面しており、前に2〜3台分の駐車スペースが確保できると来店のハードルが下がります。一方、ビジネス街や単身者向けマンションが多いエリアはケーキの需要が少ない傾向があります。
商品の製造工程に合わせて厨房内のエリアを「生地・焼成エリア」「仕上げ・デコレーションエリア」「冷蔵・保管エリア」に明確に分けることが重要です。エリアが混在すると作業動線が複雑になり、衛生面でもリスクが生じます。1日の製造の流れをシミュレーションしながらレイアウトを決めることで、無駄のない動線が設計できます。
電気容量の確保が最重要です。ケーキ屋はオーブン・冷蔵ショーケース・冷凍庫など電力消費の大きい機器を多数使用します。一般的な店舗用物件では電気容量が30〜50A程度のことが多いですが、製菓店では100A以上必要になるケースもあります。電力増設が必要になると工事費が30万円以上かかることがあるため、物件選びの段階で電力容量を確認しておくことを強くおすすめします。
ラーメン屋
ターゲットとする客層によって最適な立地が変わります。ランチ需要を狙うなら、オフィスビルや企業が集まるビジネス街・商業エリアで、昼の人流が多い立地が最適です。夜の需要(夕食・飲んだ後の締め)を狙う場合は、飲食店が集まる繁華街や夜の人通りが多いエリアが有利です。単身者や男性客が多いエリアは総じてラーメン需要が高い傾向があります。
中華料理店
中華料理は炒め物・揚げ物など油を多く使う調理が多いため、厨房の「清掃しやすさ」を最優先に設計することが重要です。床・壁・天井は油汚れが落としやすいタイルや耐熱塗装、ステンレス製品を積極的に採用してください。また、強力な換気設備・排気ダクトの容量も十分に確保する必要があります。厨房内の動線もシンプルに保ち、毎日の清掃が負担にならないレイアウトを心がけましょう。
花屋
花屋特有のポイントとして、①バックヤードの広さです。水揚げ作業・仕入れ花材の保管に十分なスペースが必要です。②水場の配置です。水揚げ作業をお客様に見せるオープンスタイルにするか、バックヤードで行うかを設計段階で決めておく必要があります。③廃棄スペースの確保です。花屋はダンボール・茎・葉など日々ゴミが大量に出るため、一時保管場所の確保が必須です。バックヤードの広さと水場の配置は、他業種以上に重要な設計要素です。
ネイルサロン
施術中はお客様が1〜2時間同じ席にいるため、隣のお客様との距離感と視線への配慮が最重要です。席間隔は最低でも1,000〜1,200mm確保し、低い仕切りパネルや観葉植物などの「目隠し要素」を設けることでプライベート感が生まれます。照明は手元を明るくしつつ全体は落ち着いたトーンにすると、施術のしやすさとリラックス感を両立できます。
カフェ
ターゲット客層によって最適な立地が異なります。女性・主婦・ファミリー層をターゲットにする場合は、小学校・中学校・幼稚園・保育園の近くのエリアが非常に集客力があります。ビジネスマンをターゲットにする場合は、オフィスや企業が集まるビジネス街で、昼休みに徒歩でアクセスできる距離(徒歩5分以内)が理想です。まずターゲット客を明確にしてから物件を探すことをおすすめします。
まず「用途地域」の確認が必須です。自宅がある地域の用途地域によっては、商業行為(飲食店営業)が認められていない場合があります。第一種・第二種低層住居専用地域では飲食店の営業ができないケースが多いです。また、建築基準法上の「用途変更」手続きが必要になる場合もあります。市区町村の建築課や保健所への事前確認を必ず行ってください。
プレハブは外観が無機質になりやすく、中が見えないため入りにくい印象を与えがちです。改善策として、①大きな窓を設けて店内の様子が外から見えるようにすること(視認性の確保)、②外壁に木材・塗装などで装飾を加えてプレハブらしさを軽減すること、③入口の植栽・看板・照明で「来店を誘うエントランス」を作ることが有効です。なお、プレハブは断熱性・耐久性の面でデメリットもあるため、長期営業を前提とする場合は通常の内装工事をおすすめしています。
コスト削減の最大のポイントは「既存を活かす」ことです。躯体・床・天井など、そのままの状態で使える部分はできるだけ残すことで、解体・廃棄費用と新設コストを同時に削減できます。また、壁の塗装やタイル貼りなど、専門技術が不要な部分はDIYで仕上げることも有効です。内装のすべてを新設するのではなく、どこを「見せるか」「隠すか」を設計段階で整理することが費用と工期の両方を圧縮するコツです。
居酒屋
「外から店内が見える」ことが最も重要です。窓を設けるか、入口ドアをガラス張りにするかして、入店前にどんな雰囲気か・どれくらい混んでいるかが分かると、1人客が入りやすくなります。また、カウンター席を入口に近い位置に設けることで「1人でサッと入れる」印象を演出できます。照明は明るすぎず暗すぎない「ほどよい照度」がお1人様のリラックスにつながります。
パン屋
イートインスペースを設ける場合、「飲食店営業許可」の取得が必要になります。許可取得のための主な内装要件として、①手洗い専用の洗面設備の設置(食品を扱う設備とは別に独立した手洗い器が必要)、②シンクの設置(2槽式が求められる場合もあり)、③床・壁の清掃しやすい素材の使用などが挙げられます。要件は管轄の保健所によって細かく異なるため、設計前に必ず事前相談に行くことを強くおすすめします。
雑貨屋
「回遊できる動線」を作ることが最も効果的です。お客様が店内をぐるりと一周して、また戻ってきたくなるような動線設計にすることで、滞在時間が伸び商品との接触機会が増えます。什器の配置は行き止まりを作らず、視線の先に常に次の商品が見えるように意識しましょう。また、高さの異なる什器を組み合わせることで奥行き感が生まれ、小さな店舗でも広く感じられます。
施工・見積もりに関するご質問はサービスFAQをご覧ください。
サービスに関するよくある質問を見る →